番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を



 「どこで待っていてくれてるの?」
 「ここより高いところだ。」


 そう言って静かな場所を歩く。
 今日は初夏でも暑い気温のはずなのに、ここは澄んでいるからか少しだけ涼しく感じる。
 しばらく坂道を歩くと、椋の足が止まった。


 「ここだ………」
 「うん。」


 椋と花霞が見つめる先には、白く輝く平らな石が地面に埋められていた。そこには、「HARUTO」と刻まれている。


 「初めまして、遥斗さん。………でも、初めましてに感じない、ですね」
 「………久しぶりだな。来るの遅くなって悪かったな」


 花霞はその場にしゃがみ、ジッとその墓石を見つめる。椋は立ったまま彼に話し掛けた。


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