番外編 溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を
その日は、彼が帰ってきた時に、ゆっくりと体を休めてくつろげるようにと洗濯や掃除などの家事をして過ごした。
けれど、朝早くから始めたので、昼過ぎにはすぐに終わってしまう。
「んー………気分転換に買い物でも行こうかな」
お腹が空いてきた頃、花霞は散歩がてらに近くのお気に入りのパン屋に向かう事にした。
チーズがゴロゴロと入ったパンとフレンチーストがお気に入りなのだ。それを食べる時を考えるだけでお腹が鳴りそうだった。
花霞はすぐに出掛ける準備を整えると、パン屋へと向かった。
そのパン屋では驚くべき偶然があった。
「あ、蛍くん?」
「花霞さん………!」
花霞がそのパン屋に入ると、そこには蛍がいた。今日もモノトーンコーデの彼だったが、いつもと雰囲気が違っていた。眼鏡をしているのだ。黒のフレームの細身の眼鏡がとてもよく似合っていた。若い男性で、目を惹く彼は驚きながら花霞に近づいてきた。その途端に周りの女性たちが花霞に視線を注いだ気がして、思わずたじろいでしまった。