若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
頬を伝う涙をぬぐって、何度も『向葵』と呼びながらキスをしてくれた彼。

少しも怖くなかった。
痛みはむしろ、これが夢じゃないんだと教えてくれるようで。
恥ずかしいなんていう気持ちはどこに隠れていたのか、抱いてほしいという気持ちが他のすべてを消し去ってしまった。

あんな吐息のような甘い声が、自分の口から出るなんて。
自分の体があんな風になるなんて、自分が変わってしまいそうで、むしろその方が怖かった。

心が壊れそうだと、苦しくなる。

膨らみすぎた風船が弾けてしまうように、自分ではどうしようもない“好き”という思いが膨らみ続けて止まらない。

これが恋なんだ。
切なくて苦しくて、辛い恋なんだ。

本当の妻なら彼と一緒にいられるけれど、それはできない。でもここにいれば、もしかしたらふらりと、彼は来てくれるかもしれない。

――会いたいな。会いたいよ。

溢れる想いに押し潰されそうになりながら、向葵はソファーに顔を埋めた。
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