若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
矢神が彼のもとで仕事をするようになって、まだ九ヶ月。今でこそ誰よりも彼の近くにいるが、いまだに彼の考えがわからないことがある。

今回の婚姻に関しては、全くと言っていいほど真意が掴めない。

――自分が彼女の話を彼にしたことは間違いだったのか。
矢神もまた、佳織と同じように責任を感じていた。

――彼女を傷つけないでくれればいいが……。

車窓を流れていく雑踏に目を向けながら、矢神は向葵を見つめる彼の瞳を思い浮かべた。

彼が新妻を見つめる眼差しは温かい。

その瞳の中に、時折困惑の色が過ぎってみえるのは気のせいか?
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