若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)

それから三時間後。

無事、夕翔は約束のホテルのロビーにいた。
ゆったりとソファーに座って新聞を読んでいる。

エントランスをくぐった向葵は、ドキドキしながら立ち止まって
チラリと我が身をかえりみた。

花柄のシフォンのワンピースは、ブルーグレイで可愛い過ぎない程度に大人っぽい。
美容院でパーマをかけた髪はムースで整えたし、教えてもらった通りに丁寧に化粧もした。口紅の色は服の色に合わせて控えめなベージュピンク。

向葵は軽く胸に手をあてて自分に言い聞かせた。
――大丈夫。

『私、夕翔さんと一緒に出掛ける時の服装、どうしたらいいか自信ないです』
ブルゴーニュのシャトーで彼にそう話した。
そんなつもりで言ったわけではないけれど、『わかった。日本に帰ったらすぐに手配をするから大丈夫だよ』と彼は言って、日本に帰った次の日には、百貨店の外商と名乗る人物がスタイリストの女性を連れてマンションに現れた。
そのスタイリストのアドバイス通り、バッグもパンプスもアクセサリーも上から下まで準備できたはずである。
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