若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
「ほんとほんと。学生のころはアルバイトもしたんだよ。世間知らずじゃ使い物にならないしね」

「アルバイト? 居酒屋で?」
「うん。コンビニも」

クスクス笑いながらふたりはエレベーターに乗る。

隣に立つと、夕翔からふわりと彼の香りがした。微かに甘く爽やかな向葵の大好きな香りだ。

いつまでも包まれていたい、そんな香り。

昇っていくエレベーターの階数表示を見ながら、まるで天国にいくみたいだと、向葵は切ないほど思った。
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