若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
手当たり次第に優しいわけじゃないと言う心の声が、なにかへの言い訳のようで、夕翔はこめかみに手を当てた。

『お前のほうが、よほど残酷だぞ』という真行寺の声がズキズキと頭に響く。

「常務? 大丈夫ですか」
エレベーターを出るなり、心配そうに矢神が振り返る。

「お体の具合でも?」
「いや、大丈夫だ」

なんでもない。
少し混乱しているだけだと自分に言い聞かせながら、夕翔は左右に頭を振った。


その後も冴えない顔をしていたのだろう。矢神が早めの退社を促してくる。

「明日、大阪の出張がありますし、今日は早めに帰ってゆっくり休んでください。残りは私のほうで処理しておきます」

ふと見た先。窓の外には暗雲が広がっていた。

時間はまだ三時だというのに薄暗く、まるで我が心中のようだとため息が出る。

「そうだな」

なんだか疲れた……。
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