若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
ほっとしたところで、ローボードの上に飾っているウサギのぬいぐるみに「ただいま」と挨拶をする。
ぬいぐるみは答えてくれないが、相変わらずの可愛らしさに心がほっこりと温まる。
それだけで十分だ。

本当は生きているウサギを飼いたいけれど、学校とアルバイトで部屋にいないことが多いので、飼える自信はなかった。

向葵が住んでいるのは、二階建ての小さなアパート。
大学で紹介してもらったここは、女子学生ばかりが住んでいる格安アパートだ。

一階に大家さんの老夫婦が住んでいて、何かあったらすぐに相談にのってくれる。部屋は狭くて建物は古いが、安全だし、安心して住んでいられる。

カーテンは薄いブルー。本当は可愛らしい柄にしたいけれど、大家さんのすすめもあり防犯上あきらめた。ワンルームの小さな部屋にはテレビとテーブルの他、小さな棚があって、それらは全て大家さんが用意してくれた物で、元からこの部屋にあった。

小さな小物を除けば、なんとも殺風景な部屋である。
自分で買った物の中で一番高いものはノートパソコンという、我ながら慎ましい暮らしぶりだった。

腰を下ろし、改めて封書を手に取って入念に通知文をチェックした。

『お手数でも出欠のご連絡をいただけますでしょうか』、とある。

――なるほど。
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