若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
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「お待たせしました」
ロビーに出ると、所在なさげに矢神が立っている。
彼の存在も忘れて、タクシーの中で号泣してしまった佳織は、ホテルに到着すると化粧室に駆け込んで、化粧と気持ちの両方を落ち着けた。
「大丈夫ですか?」
「はい。すみません」
またしても醜態をさらしてしまった。
ブルゴーニュのシャトーで酔って絡んだことを思えば、今回は感動の涙だから許してねと、心の中であやまってみる。
「じゃ、行きましょう」
「はい」
それにしても予約が必要なレストランに来るとは、本当なら誰か別の女性とでも来る予定だったのだろうか? ぐんぐんと上に昇っていくエレベーターが向かうのは、もしかして噂の天空レストラン?
心の中で首を傾げいている佳織の目の前で、昇りきったエレベーターの扉が開く。
と、その時だ。
扉が開いた目の前で、バシッと平手打ちの音が響いた。
「え!?」