若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
車に乗ると、向葵は胸に手をあてながら目を閉じた。
運転手と後部座席は仕切られている。やけにゆったりとした座席シートは艷やかで、車内は明らかな高級感に満ちている。それが生まれて初めて乗るリムジンだということに感動する余裕は、いまの向葵にはない。
向葵をエスコートして車に乗せたあと、彼は矢神と立ち話をしている。
スモークがかかったウィンドウは、内側から外は見えてもその逆はない。彼が隣に乗ってくる前に気持ちを落ち着けなければと、向葵は大きく口を開けて息を吸う。そして、音をたてながら息を吐いた。
「ふぅー」