愛さずにはいられない
「奈央。」
「ん?」
「もう一つ話がある。」
「なに?」
奈央は穏やかな表情をしている。
「俺、二番目でいいって言った。絃の次でいいって。奈央の心は絃のもので、俺は絃を思う奈央をまるごと守って支えて愛するって言った・・・。」
奈央は仁からのプロポーズを思い出す。
「でも俺・・・。」
仁は奈央を再び抱きしめた。
「俺は奈央の気持ちもすべてが欲しい・・・。絃を忘れなくてもいい。でも、奈央の気持ちが一番欲しい・・・。」
仁の本音を聞けたような気がして奈央はうれしかった。
同時にいつも年上で、奈央を支えてくれる頼もしい仁の、弱々しい姿を見たような気がして愛おしさが募った。

奈央は仁の大きな背中に自分の手をまわした。
そして仁の耳元でささやく。
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