愛さずにはいられない
「蓮水さんもどうぞ?」
渡瀬の言葉に奈央は近くにあったグラスを手にしてビールをうけた。グイっと飲み干す姿に渡瀬は満足そうに微笑んだ。
「どうぞゆっくりなさってください。」
奈央は頭を下げると次はどこに行こうかとあたりをみわたした。

その視線の先に。モデルや女性関係者の大きな集まりを見つけて奈央はその中心に長身で目立つ仁がいるのを見つけた。

女性たちは仁に色目を使って甲高い笑い声をあげている。

奈央はそう言った集まりが好きではない。

仁の方へ背中を向けて他企業の社長の集まる場所へ移動した。
「あなた」
声と同時に奈央は中年の男性に腕をつかまれて驚いた。
「どうしました?」
奈央がその男性を見る。
男性は奈央の腕をつかんだまま奈央の顔をじっと見ている。
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