愛さずにはいられない
「大悟さん」
仁が声をかけると店内にいた男性が振り向いた。顔をくしゃっとして微笑む。
「おう。久しぶりだな。仁」
大悟はそう言いながら仁のもとへ近付く。
「莉子、仁が来たぞ。」
「久しぶり!」
大悟は接客していた莉子に声をかけた。
「元気だったか?」
大悟は仁の頭をなでた。
長身の仁と同じくらいの背丈の大悟は仁をまるで子供の用に頭を撫でて笑顔を向ける。
「はい。お久しぶりです。先日は連絡ありがとうございました。」
「他人行儀だな。噂は聞いてるぞ~かなり稼いでるな。」
「そんなことありませんよ。」
「また~。こんなに優秀な後輩をもてて幸せだなって莉子と話してたんだぞ?」
「本当ですか?」
「嘘。」
「・・・大悟さん!」
いつもしっかりしていて、兄貴分の姿の仁しか見ていない奈央には新鮮な表情の仁だった。
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