クローバー
真治の正体
家に帰る。
沙衣も呼ぶ。

「お姉ちゃんどうしたの?」

茉衣は、

「妊婦仲間。姉妹揃って。」
「え?ハルカ君いるのに?」
「…生理が来ないから病院行ったら妊娠してるって。」
「またお義兄さん早いねぇ。」
「いいの。遥紀の子供だから幸せ。」
「茉莉ちゃんいるのに、よくもまぁ抱かれてるね。」
「…ヤキモチやきのかわいい人。」
「でも、嬉しい。お姉さんが幸せで。私はお義兄さんがいい人だと知ってるから。茉莉ちゃんが入院してた時のあの優しいカオ、本当に愛していないと出来ないわ。初めて会ったのは、病院の入口で、ママと私が恨んでいると思っててびくびくしていたけれど、話しているうちにいい人だとわかった。だから礼衣を鎮めようとした。」
「沙衣…。」
「別れた時泣いていたのは、好きだから。お姉さんをこれほどまでにするのは魅力ある人でしょ?まぁ、うちの真治も本当、絶倫王子で。拒むのがまた好きみたいで…。拒むほど襲いたくなるって。…駆け引きは上手いし、到底かなわないわ。逆らうことがいけないようなきれいなカオして。それに、甘い声で囁かれたら…。子供好きで郁とはじゃれてるし、悪い人じゃない。バカだけど。」
「ふふふ、ラブラブね。」
「…出会いがまた、計画的だったし。」

聖華は、

「お義兄さんとの出会いって?あんなにかっこいい人との馴れ初め。モデルみたいじゃないですか。」

沙衣は、

「ぎくっ…。」

聖華は、

「そういえばモデルといえば謎が多くて、急に引退した”Shin”さんかっこよかったですよね。集めて集めて、ファンでした。」

茉衣も、

「イケメンだったよね。周りはファンだらけで。今どうしてるのかなぁ?いきなりだったし。」

沙衣は、

「…。」

(真治だって…それ。…あ、やなこと思い出した…セミヌード…騙されて…あの後に最初に抱かれたのね…はぁ…。)

「ねぇ、お義姉さん?」
「…うん。高三の時にね、学校の帰り、雨の日に限って、傘に入れて?と、言う大学生がいて、しかも毎回だよ。女慣れしてそうなくらいのキレイな、眩しいくらいの美形。軽い人のナンパだと思って、気にせずに逃げた。しつこくて、何で一人なの?と聞かれて、涙を見せてしまったら、涙を人に見せるなと、不意にキスされて、抱き寄せられたの。
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