クローバー
ただただ謝るばかりで。ママ来るからね。と言うと、ママ?と言って、離れました…。姉が来ると一瞬姉に申し訳なさそうな顔をしたんですけど開き直って甘えていました。姉に後で聞いたら、帰った後ルンルンでお姉さんがいくら注意しても、だってパパに甘えただけだよ。温かかったよ。と言って、揚句の果てには、パパだもん…また抱っこして欲しいもん!と泣き腫らして、姉もお手上げで。」
「…。」

遥紀の父親は無言のまま、席を立ち、友人と雑談している遥紀の所へ行き、

「遥紀、少し来て欲しい。」

と言う。
遥紀は従い、茉衣の家族の所へ。
父親は、

「遥紀、よ〜く思い出すんだ。お前、甘えてきた子供抱いたことあるよなぁ。」

遥紀はきっぱり、

「あるよ。5才くらいの女の子、いきなりパパと呼ばれて、抱っこせがまれて…って…確か!?」

沙衣は、

「あれは茉莉です。〇〇公園ですよね。茉莉、本当にパパに抱いてもらったんだ。落ち着いて。離して、お姉ちゃんに連れられて家に帰った夜、パパな抱いてもらったと泣いてた。ただ駄々こねてただけだと思っていました。茉莉は本当に父親を見つけていたのですね。温もりを感じてた。…離したのは間違いだったんだ。」
「じゃあ…あの女の人は…。」

沙衣は、

「私です。会っていたのですね。お義兄さん。」
「…幼い茉莉を抱いていた…。」

遥紀は茉莉を抱いている記憶を思い出し、腕を見ている。
遥紀の父親は、

「運命かもしれない。茉莉ちゃんは、あの時遥紀を呼び出した理由を食い止めたかったも知れない。舞い降りた天使だ。」

沙衣は、

「何がですか?」
「私は…遥紀を呼び出して、茉衣さんを忘れられずにいた遥紀に、忘れろ、終わった女だ。と言った。もちろん遥紀は拒んで怒って帰った。茉莉ちゃんは私を止めて遥紀に、実の父親に甘えたかったのでしょう。」

話していると茉莉はハルカを抱いて帰ってくる。

「パパ、何でみんな集まっているの?」

遥紀はハルカを抱いて、

「ハルカ、よ〜く飲んだか?」

なでなで。
沙衣は、

「みんなでお話してたの。」
「ママは?」
「うん。もうすぐだよ。ママかわいい。へへっ。」

遥紀は、

「そろそろ茉衣を迎えに行く用意しないとね。」


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