バッドジンクス×シュガーラバー
「あっ、だけど久浦部長は、俺らと違ってわりと普通に話しかけてもらってません?!」

「そりゃ、俺には効かないからな」

「さっすが強運部長~!」



牧野さんの問いに久浦部長があっさり答えると、えみりさんが拍手ではやしたてた。

それを聞いた牧野さんは、何やら神妙な顔をして顎に片手をあてる。



「マジか……部長チートすぎ……いや、俺も大量にお守り身につけたりしとけば小糸さんも安心して普通に話してくれる……?」

「いいんじゃない、それ。買い歩くの付き合うわよ」

「おお、サンキュー」



目の前で明るく繰り広げられる牧野さんとえみりさんの会話を、信じられない思いで聞いていた。

そこでそっと左肩を叩かれ、ハッとした私はそちらを見上げる。

視線の先にいるのは、満足げに口角を上げた久浦部長だ。



「わかったか? おまえがひとりで悩まなくても、拍子抜けするくらいこっちの想像を飛び越えた考えを持ってるやつはいるんだよ。コイツらみたいに」



笑い混じりのその言葉を聞いて、また顔を前へと向ける。

そこにはああでもないこうでもないと、私のジンクスをなんとか回避する方法を議論するえみりさんと牧野さんがいて。

思わず込み上げそうになった涙を、ぐっと目もとに力を入れることで堪えた。
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