バッドジンクス×シュガーラバー
想像を越えてくるのは、久浦部長だって同じだ。

……誰も近づかないで。

……誰も話しかけないで。

異性に対して、ずっとそう思いながら生きてきたのに。



『そのジンクス、俺が変えてやる』



あのとき──間違いなく、私の世界が変わった。

これまでよりもずっと鮮やかに、私の世界が色づき出した。



「なあ、小糸」



私の歩くスピードが落ちたことで、えみりさんたちとは距離が開いてしまっていた。なのにまったく気にする様子もなく歩幅を合わせてくれながら、久浦部長がポツリと名前を呼ぶ。

反応した私が顔を向けるのと同時に、また言葉を続けた。



「前に言ってただろ。親の離婚も、自分のせいだって」

「……はい」



戸惑いつつも、うなずく。

すると正面を向いていた部長がこちらを見て、視線が交わった。



「そのことも……1度きちんと、親御さんと話してみたらどうだ」



息を呑んで押し黙る。

そんな私に、久浦部長はふわりと笑ってみせた。



「おまえがひとりでぐるぐる考えてたって、どうせネガティブな方にばかり傾くだけだろ。ちゃんと母親と腹割って話して、それから必要に応じて落ち込め」



……ひ、必要に応じてって……。

背中を押してくれているようで、話している内容はそっけないというか、容赦がない。
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