バッドジンクス×シュガーラバー

平日ということもあり、比較的スムーズに目的地へは近づいていく。

途中、高速道路のサービスエリアで軽く昼食をとった他は寄り道もせずに、ひたすら車を走らせた。

首都高速から東名高速に入り、さらには新東名高速を進んで目的のインターチェンジを降りる。

そうして当初の推算から30分ほど過ぎた頃、俺たちは“そこ”にたどり着いた。



「ここが……」



車を降りた小糸が、目の前にある建物をまじまじと見つめながらつぶやく。

つられるように足を止めた俺も【茶匠 ひさうら園】と書かれた看板を見上げた。

大きな蔵を思わせる外観の店舗は数年前に建て替えたばかりで、まだ真新しい。

すぐ隣には製茶工場があるため、こうして立っているだけでもお茶のいい香りが鼻腔をくすぐった。



「行くぞ」



短く言って歩き出した俺の後ろを、小糸が慌ててついてくる。

新しいはずなのにどこか風情を感じる木枠の引き戸の前に立ち、ひそかに深呼吸をした。

覚悟を決めた俺は把手(とって)に手をかけ、潔く引き戸を滑らせる。
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