バッドジンクス×シュガーラバー
……なんなんだ、おまえは。

なんで、そんなに──これほどまで、俺の感情を揺さぶってくるんだ。

発作的に起こった“今すぐ抱きしめてしまいたい”という欲望を抑え込むため、正座をするひざに載せた両手のこぶしを強い力で握り固める。

もしかすると、表情にも葛藤が表れているんじゃないだろうか。

そんな心配が頭によぎったそのとき、また口を開いた者がいた。



「小糸さん、どうか顔を上げてください。こちらこそ、意地の悪い質問をしてしまい失礼しました」



丁寧な口調で語ると、稔が苦い笑みを浮かべる。

おそるおそる頭を起こした小糸は、それでもまだ、顔にでかでかと『やってしまった』という文字が見える不安げな表情をしていた。



「私の個人的な感情で小糸さんには不快な思いをさせてしまい、申し訳ないです」

「いえ、そんな!」



今度は自分が頭を下げられる番になり、小糸がブンブンと両手と首を横に振る。

このときには、俺の激情もどうにか落ちつかせられていた。

軽くため息を吐いてから、静かに「小糸」と名前を呼ぶ。
< 178 / 241 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop