バッドジンクス×シュガーラバー
「稔は……俺の、何かに熱中するあまり周りへの配慮が疎かになる性質に腹を立ててるんだ。悪い癖だと自覚はあるから、おまえがさっき言ってくれたほど、俺はきっといい上司ではないんだと思う」



話しながら、今度は正面の稔へと目を向けた。



「2年前の今頃、高齢の祖父が倒れたと稔が俺に連絡をくれた。だけどそのとき俺は、取引先に出かけていてその場で電話に出られなくて……着信があったことには気づいていたが、また後でかけ直せばいいと思ってそのままにしていた。そうこうしているうち充電が切れてスマホが使えなくなり、結局稔に電話をかけ直して用件を聞いたのは、最初の着信から半日以上も経ってからだったんだ」



どうせたいした用でもないのだろうと、急ぐこともしなかった。

じいちゃんっ子だった稔は、余計に俺の対応が許せなかったのだろう。

あれ以来、たまに実家で顔を合わせることがあっても、冷めた目で睨みながら棘のある態度をされるようになってしまった。

仕事中のことだったとはいえ、この件は間違いなく俺に落ち度がある。

だから下手に強く出ることもできず、関係を修復するすべなく今日まできてしまったのだが──……。

兄弟間の事情を打ち明けた俺を、稔はやはり眉を寄せた険しい顔つきで見つめている。

また無意識に吐息をこぼした俺を、小糸が隣からおずおずと見上げた。
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