バッドジンクス×シュガーラバー
私がもっと強い人間で、あのときふたりに正面から向き合えていたなら──今もこうしてモヤモヤした気持ちを抱え続けることも、なかったのだろうか。

私が漏らしたつぶやきは、しっかりと牧野さんの耳にも届いたようだ。

手の中のグラスに意識を向けている私にその顔は見えないけれど、どこか呆れ混じりの声がする。



「……なーんでこんな、拗れちゃってんのかねぇ」

「え? 今、なんて……」



ボソリと落とされた言葉がよく聞き取れなくて、訊ねようとした。

しかしそのとき「ふたりともただいま~」とえみりさんが戻ってきたため、話はなんとなくうやむやになってしまう。

結局そのまま食事を終え、私たち3人はお店を出た。

夏真っ盛りの昼間、外はただ立っているだけでも汗が滲むほどの暑さだ。



「はー、おなかいっぱい~そしてあっつぅい」

「言うな言うな、余計暑くなるから。小糸さん、これでプレゼンはバッチリだな!」

「う……そうだといいですけど」



会社に戻るため、日陰を選びながら連れ立って歩く。

交通量の多い大きな横断歩道に差し掛かったところで、ふとえみりさんが会話を途切れさせ声を上げた。
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