バッドジンクス×シュガーラバー
「あ。あと、部のヤツらに差し入れ買うか。適当に焼き菓子のセット選んで持って来い」

「え?! あ、はいっ」



レジに並ぶ部長に指示され、急いで焼き菓子が並ぶ棚へと向かう。

少し悩んでからクッキーやマドレーヌ等いろいろな種類が詰め合わせてある無難なサイズの箱を選び、部長のもとへと戻った。



「これなんて、どうでしょう?」

「お、いいな。センスあるんじゃないか」



微笑みながらストレートに褒められ、驚きつつも思わず口もとが緩みそうになってしまったのをなんとか堪えた。

口が悪くて、ついでに目付きも悪い久浦部長が部署のみんなに慕われてる理由……なんとなくだけど、わかった気がする。

部長は、部下がいい働きをすれば素直に言葉にして褒めてくれる。今回のおみやげみたいに、自然と部下を気遣ってくれる。

この人のそういうところに、きっとみんな惹かれるんだ。


来たときと同じく、社用車の運転席に久浦部長、助手席に私という組み合わせで乗り込む。



「それじゃ、会社に戻るぞ」

「はい」



シートベルトをつけながら話しかけられ、そのセリフにうなずいた。

自社ビルへの道すがら、先ほどのお店で食べたケーキの感想を言い合ったり、今まで自分が行って当たりだった和洋菓子店の話題で自然と会話が続く。

部長も行ってみたいと言っていたウチの近所にある“満天堂”は、絶妙なバランスで和洋折衷されたお菓子が人気のお店。私自身常連ということもあり、“満天堂”の話をするときはつい熱がこもってしまった。

訪れるたびについ手が伸びてしまう大好きな【生クリーム入りどら焼き】のおいしさを語っていると、不意に部長が堪えきれないといった様子で噴き出す。
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