バッドジンクス×シュガーラバー
「誰か、小糸と帰る方向が同じやついるか?」

「あ、久浦部長。それなんですけど」



周りにいる奴らに聞かせるため軽く声を張れば、すぐそばにいた牧野が右手を挙げる。



「俺と部長が同じですね。でも、ほら」



そこで牧野が自分の口もとに手をあてながら、内緒話をするように顔を寄せてきた。



「小糸さん、俺のこと苦手みたいだし。でも久浦部長には、多少慣れてるみたいじゃないですか」



耳もとでコソコソとそんなことを話された俺は、きっと今微妙な表情をしている。

慣れて……いるのか? あの態度は。

とっさに無言になっていた俺へ、ダメ押しとばかりに一段と声を低くして牧野が続けた。



「それに俺、今日はこのあと“彼女”の家に行くんで。ということで、よろしくお願いしますね!」



後半のセリフは周りにも聞こえる音量で、やたらと明るく言いながらポンと背中を叩いてきた。

俺はといえば、引き続き微妙な表情である。

こんな下心満載の自分がマンツーマンで彼女を送っていいものか、さすがに罪悪感が芽生えているのだ。

そこでハッと気がついた。
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