バッドジンクス×シュガーラバー
いい具合に酔いも醒めた頃を見計らって店内に戻ると、ちょうど歓迎会はお開きムードになっていた。

自分のもといた座椅子に腰を下ろしたところで、近づいてきた浅村に斜め後ろから声をかけられる。



「部長、すみませーん……私、やらかしちゃいました」

「は? 財布でも忘れたか?」



怪訝な顔をした俺にふくれながら「違いますよ~」と言って、浅村はどこかを指さした。



「憂依ちゃん、沈めちゃいました」



語尾に星でもつきそうな軽いノリで、答えた彼女。

つられて目を向ければ、そこには完全にテーブルに突っ伏している小糸がいる。



「おまえ……その飲ませたがり癖どうにかしろと、あれほど言っただろうが……」

「てへ。後輩がかわいくて、つい」



浅村は茶目っ気たっぷりなわざとらしい笑顔で小首をかしげるが、こちらはまったく笑えない。

ひたいに片手をつき、思わずうなだれた。



「ったく、仕方ないな……おい、小糸」



席を立って小糸に近づき、その薄い肩を軽く揺する。

顔を伏せたまま小さく「んん」とつぶやいて身動ぎしたが、覚醒する気配はない。具合が悪いというよりただ寝てるだけに思え、そこは一安心。

だけどメガネもかけっぱなしで、大丈夫なのだろうか。
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