基準値きみのキングダム
「じゃあ、そのがんもを2つ」
「2つでいーの?」
「うん。奈央と京香に食べさせてあげたいなって思ってたから」
私の言葉を聞いて、深見くんはぱちぱちと瞬きを繰り返す。
それから、ふはっと声を上げて笑った。
な、なに……?
「森下さあ、口開けば、ひとのことばっかじゃん。自分のことは二の次で」
「うそ、変だった?」
「んーん。森下に思われる家族は幸せ者だなーって」
……そうかな。
自信はない。パパにとって「いい娘」かどうかも、奈央と京香にとって「いい姉」かどうかも。
“鉄仮面” なんて言われるくらいだもん。
どうにも器用になれない私じゃなくて、ほかの子が同じ立場なら、もっといい娘にももっといい姉にもなれたかもしれない。
「てことで、そんな森下にサービス」