売れ残りですが結婚してください
早く知りたくて仕方のない翠の姿が面白かったのかシュウはくすくす笑った。

だが翠はシュウがなぜ笑うのかわからない。

そんなことより早くどこに本が売っているのか教えて欲しかった。

「あの?」

「ああごめんごめん。本だったね」

シュウはポケットからスマートフォンを取り出すと満面の笑みを翠に向けた。

「これだよ。ネットの電子書籍で買えるんだ」

「ああ」

翠には盲点だった。

口を開けたまま納得する翠にシュウは話を続ける。

「どこのサイトか教えてあげるから……メルアド教えてよ」

「メルアド?」

なでメルアドなのかと翠は首をかしげる。

「メールに電子書籍のURLを送ってあげるよ」

優しそうに見えるが、翠からしたらわざわざそんなことをせずここで教えて欲しいところ。

だけどせっかく教えてくれるというのに失礼な言い方は良くないと思い、アドレスを交換した。

すると翠のスマートフォンにメールが届いた。

もちろんシュウからだった。

きっと電子書籍のURLだろうと思ったのだが、メールの内容は違っていた。

《尾形光琳の特別展示会があるんですが一緒に行きませんか? 》
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