売れ残りですが結婚してください
普通ならこんなナンパと変わらない誘いに躊躇するものだが、翠には男女の駆け引きなんてものがあることすらしらない。

翠は、ただ純粋に本がどこに売っているのか教えてくれるのならという気持ちで「はい」と、この誘いに乗ってしまった。

「そうと決まったら早速行こう」

2人は早速会計をすませると本屋の近くのカフェに入った。

「ところで自己紹介がまだだったね」

男性が微笑む。

そのあまりのかっこよさに翠は、こんなイケメンに自分の顔をじっと見られるなんてが耐え難いと思い、サッと視線をそらしながら返事をした。

「僕は……シュウ。君は?」

男性は名前だけを告げたので翠も同じように下の名前だけを教えた。

「翠さって言うんだ。かわいいね。でも翠ってどういう字を書くの?」

「鳥の……羽に卒業の……卒です」

人差し指で宙に字を書く。

シュウは翠の必死な説明にウンウンと口角を上げあがら頷いていた。

だけど翠は自己紹介などどうでもよかった。

「あの……それでさっき言っていた光琳の……」

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