売れ残りですが結婚してください
「じゃあ今日から僕たちは友達だ……でも」

「でも?」

「いや……なんでもない」

本当は友達で終わるつもりはないと言いたかったけど、今の翠にハードルを上げてしまうと逆効果だと思ったシュウは言うのをやめた。

その代わりに……。

「よし、じゃあ友達になった記念に二人でどこかに行かない?」

「え?」

突然の誘いに翠は目を丸くしながらシュウを見た。

「だって僕たち友達だろ?それに翠だって女の子と食事に行ったり、遊びに行ったりするだろ?それと一緒」

「は、はあ」

なんだか強引な感じもするが、友達だからいいのかな?と翠も納得した。

「じゃあ早速だけどどこに行きたい?」

「どこと言われても……」

翠が戸惑うように下を向いた。

シュウはそんな翠の姿を見て微笑むと「僕は景色のいいところに行きたいな〜」と会話を繋げる。

「海とか山とかですか?」

「そうだね。ちなみに翠はどっちが好き?海と山」

翠は薄暗くなった空を見上げながら考えていた。

すると上を向いたまま「あっ」と小さい声をあげた。

「どうした?」

シュウも空を見上げた。

「星が出て来た」

翠が嬉しそうに指をさした。

その笑顔がとても自然でシュウは翠に見惚れていた。

だが結局この日は翠のシフトを聞くだけでどこに行くかは決めずに別れた。
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