求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
憂いを帯びた瞳が私だけを捉え、ふたりの唇がそっと触れ合った。
不意打ちのキスに目を瞬かすと、伏し目がちに彼が囁く。

「美月は自己評価が低すぎる……」

「んっ……」

囁きと共に唇を甘く食まれ、吐息ごと熱い舌先に絡み取られる。

美月って初めて言われた……。

嬉しさに鼓動が高鳴ると、心まで溶かすようなキスを彼は幾度もくれる。

その度に愛おしさが募って、鼓動まで優しいリズムを刻んでいく。

上原課長みたいに素敵な人が、どうして私なんかのことを好きなんだろう……。

気が付いたら私を目で追っていたと、彼から聞いたことがある。

最初のきっかけはなんだったんだろう。

ふわりと疑問が心に浮かぶが、意識は激しさを増すキスにさらわれていった。

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