求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
パソコンのモニターを指差され、坪井係長がハッと開眼する。
デスクの脇にある電卓を叩いた彼女は、すぐに唇を噛んで黙り込んだ。

坪井係長がミスするなんて珍しい。やっぱり疲れてたんだろうな……。

かけていた眼鏡を外し、レンズをゴシゴシ磨き始めた彼女の横顔は、つまらないミスをした自分を責めているように見える。

シンッとフロアに静寂が落ちる。
重苦しい空気を変えようと、声色を明るくして山瀬君の元に駆け寄った。

「山瀬君。港モールの打ち合わせ、反応どうだった?」

「中野さん、おかりなさい! 聞いてくださいよ~」

今年二十四歳の山瀬君は、私がOJTを担当した後輩社員。私達が営業担当の港モールは、全国にショッピングモールを幾多も展開している。

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