求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
だから山瀬君はからかいの笑みを見せつけてきた。

「おひとり様をバカにすると、仕事が増える呪いが発動しちゃうかもよ~」

童話の世界に出て来る魔女のようにひらりと手を翳すと「うわっ、やべぇ!」と、山瀬君は肩を竦めてパソコンと向き合う。

とはいえ呪いを本気で恐れているわけじゃない。彼は先輩のつまらない冗談にも、付き合ってくれる優しい後輩だ。

山瀬君は少々調子にノリやすいところはあっても、ハキハキした物言いが得意先から受けがいい。教えたことにも素直に耳を傾ける。

このままいい営業マンに育ってほしいと母親目線で見てしまうし、有難いことに彼も私を慕ってくれている。
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