求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
山瀬君から始まった筋肉自慢に、高木さんも腕まくりをしてノリノリだった。

それまで気づかないふりをしていたが、高木さんの楽しげな笑い声を聞き、分かってしまった。彼は思ったより不愛想じゃない。


私にだけ打ち解けようとしていない――。

彼の秘めた感情に気づいた時、胸に寂しさが宿った。

ちょうどその頃、元カレの夏輝と付き合っていて『なんでだろう?』と愚痴を零したら、『くよくよすんなよ、美優らしくないなぁ』と笑い飛ばされた。

確かに考え過ぎかもしれない。でも……。

知らない間に嫌われるようなことをしちゃったのかなぁ。

私はため息をつきつつ、パソコンの電源ボタンに手を伸ばした。真っ暗なモニターに浮かぶのは情けないほど弱々しい自分だ。

落ち込んでなんていられない。頬をパシッと手で弾き、するべき仕事に取り掛かった。

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