求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
ふたりの仲を取り持った『ヒロ君』の存在に改めて驚くと、母がおもむろに口を開く。

「ところで美優。あなた、いつまで部屋に荷物置いておくの?」

「えっ……ごめん。邪魔だった?」

「ヒロ君グッズの置き場所がないのよ。奈々さんもね妊活してるし、上手くいったら色々物入りでしょ。うちは狭いから」

ふたりが険悪の時『独り暮らしなんてやめて、うちに戻ってくれば?』と、母がしきりに言ってきた。
だから、いつでも泊まれるように自室に最低限の荷物だけ置いてある。

母がぶつぶつ零す傍らで、奈々さんもぎこちなく笑っていた。

はっきり言わないが、やはり邪魔らしい。

そっか……。
ふたりの仲はもう大丈夫だろうし、荷物を引き取ろうかな。

「じゃぁ。持って行けるのだけ、持って帰るね」


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