求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
リビングと繋ぎのキッチンに移動した彼はすぐに戻ってきた。
彼と横並びでソファに座り、グラスに入った牛乳を一気飲みする。
「はぁー、美味しい! 風呂上がりの牛乳って最高ですよね!」
ローテーブルに空になったグラスを置く。
同意を求めるよう二カッと笑うと、上原課長が私の方へ足を組み直す。
そして、真剣さを宿した瞳が私を捉えた。
「中野さん。何かあった?」
「えっ……、どうしてですか?」
「いつもと様子が違うし。話を聞くよ」
「気のせいですよ。別に私は……」
取り繕うよう笑うと、上原課長は瞳を陰らす。
「ひとりで頑張ろうとするのは中野さんの長所だけど、弱点でもあるよ」
「弱点……」
短所と言い切らず、弱点と和らげてくれるところが上原課長らしいと思う。
優しい気遣いに感謝しながら問うと、彼が言葉を紡ぐ。