求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
やっぱり、やめようか。でも、凜ちゃんと約束したしなぁ……。
数時間前。彼女がまさに寝つこうとする時、目をこすりながら教えてくれた。
『美月ちゃん。知ってる? あきくんね……お風呂、頭に泡乗せて出て来るんだよ。ちゃんと流さないと……ダメだよねぇ……。美月ちゃん、お願い……』
眠気に襲われ、途切れがちの彼女の声が耳の奥で蘇る。
深い眠りに落ちていく凜ちゃんの頭を撫でながら、私はうわぁっと心で絶叫した。
上原課長。片手しか使えないから、お風呂でちゃんと洗えてないんだ!
なんで、気づかなかったんだろう。
これだから、女子力がないと言われちゃうんだよね。幼女の凜ちゃんに敵わないとか、どんだけダメダメなのよ私は……。
もし、女子力テストなるものがあったなら、最底辺の赤点組なのは間違いなさそうだ。