求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
そんなわけで上原課長に交渉すべく、部屋まで赴いたわけなのだった。
対峙する上原課長に向け、口角をニッと引き上げて笑みを湛える。

「私、洗います」

「なにを?」

「上原課長をです」

「へぇ……。えぇ――!?」

部屋を揺らす勢いで絶叫され「しー」と言いつつ、彼の口を手で塞ぐ。

「凜ちゃん、起きちゃいますよ」

「ふっ……ふんっ……うぅっ……」

ふがふがと息を呼吸困難になる彼の口から、慌てて手を離す。

うわっ、強くやり過ぎた! 上原課長の手助けをしたいのに、苦しめてどうする!

肩で息をする彼の背中をいたわるよう、すりすりと優しく撫でる。ややして、上原課長が探るような目で私を見た。

「……俺を洗うって、どういうこと?」


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