求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
「上原課長。怪我のせいでお風呂でちゃんと洗えてないですよね? だから、私がお手伝いしようかなって思いまして」

「いや……、そんなことまでしなくていいよ。なんとかなるし」

「でも、凜ちゃんと約束したんです。ぜひ、やらせてください!」

私はすでに動きやすい服装にまで着替え済み。

白いシャツにハーフパンツという洗剤のCMに出られそうな無駄に爽やかな格好で、上原課長をすがるように見つめた。

彼は思案するよう顎に手を添えた後、ちらっと私に一瞥をくれる。

「中野さんの『ぜひ』を拒否するのは、難しそうだね」

「はい!」

よく分かっていらっしゃる!

目を爛々をさせると、上原課長が観念したと言わんばかりに吐息をついた。

「じゃぁ水着に着替えるから。先に浴室に行ってて」

「分かりました!」

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