求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
声色を高くし、そそくさを部屋を退散する。上原家の浴室は、廊下の突き当りだ。

浴室のシャワーコックを回して湯気を立ち昇らせる。
ほどなくして、上原課長が浴室にやってきた。

「中野さん。おまたせ」

「あっ、はい……」

ネイビーのサーフパンツ一枚の彼は、着やせをするタイプなんだろう。
私の想像よりずっと均整の取れた肉体美を誇っていた。

浴室が霧がかったせいもあり、普段の彼とは別人のように色気がある。
男らしい体躯から、慌てて視線を逸らした。

忘れてたわけじゃないけど、上原課長も男なんだった。なんか緊張する……。

打ち鳴る心の音がやたらと煩く、彼に聞こえてしまいそうで困る。

「それじゃぁ、遠慮なくお願いしようかな」

「なんなりと御申しつけください。どこから洗いましょう?」

「髪からお願いしてもいい?」

「分かりました」


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