マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
「高柳さんに触れられるのは嫌じゃありません!嫌なのはあの人に触られた感触で……お風呂に入っても消えなくて……ずっと気持ち悪くて私………だから」

何を喋っているのか全く自分でも理解できない。ただ頭で考える前に口が動いているだけ。

「高柳さんに……消してほしいんですっ」

高柳さんは私の頬に手を当て無言のまま動かない。
自分の放った言葉が耳に届き、それを頭で理解するまでに時間が掛かった。そして理解した途端、羞恥が込み上げて顔が熱くなる。

「やっ…やっぱり」

いいです、と続けようとした声を、低く掠れた声が遮った。

「どこだ」

「え……」

「あいつは触られたのはどこだ」

一瞬息を飲んだけれど、意を決して口を開く。

「く、首と……腰……」

「あとは」

「っ、……お、お腹も……」

思い返すだけでぞわっと肌が粟立っていく。今なお生々しく思い出される感触に、私は顔をしかめ俯いた。
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