愛妻ドクターの赤裸々馴れ初め
あれは、大学1年の夏休み前だったかな、、、


隼斗が忙しくて連絡をくれない時が続いて、私が不安になっていたんだよね。

意外と連絡がマメな隼斗は1日に1回は何か連絡をくれていた。

夜、電話が来たり朝にその日の予定をちょこっと教えてくれたり。


私は不安になっていることを伝えると面倒だと思われそうで言えなかった。

3日くらいまでは我慢できていた。

ゼミが忙しいから、とかテスト近いのかなとか。

土日に1回も連絡がなかったのはすごく辛かった。

そんなときに美月が遊びに連れ出してくれたんだっけな。

「未桜、家に籠ってるとネガティブになるよ。

ほら、行ってみよう!」

気になっていたピザのお店でランチをとって。

その間に相談していたら、隼斗のいるキャンパスに行ってみようということになってしまった。

「行けないよ!まさか!」

「どうしてよ。

浮気してるか確認するのが怖いだけでしょ。」

美月に図星を指されて言葉に詰まる。


「そうだよ。事実を確認するのが怖いだけ。」

しょんぼりした私に美月は笑って謝った。


「ごめんね。

未桜があんまりに素直だからいじりたくなっちゃったの。

あのさ、ちょっと調べてみてよ。

隼斗くんの大学。」

美月が何を言いたいのかわからないけど、促されるままに携帯に打ち込んだ。

「、、、!?

オープンキャンパス?」

思ってもみなかったイベントに謎が解けた気がする。

「うん、今日明日ね。

だからさ、忙しいんじゃないの?」

「そっか、、、。」

ごめん、隼斗。

「まぁでも、ちょっと電話してみたら?

連絡が来なくて寂しいって。

顔も3週間見てないんでしょう?」

「うーん、迷惑じゃないかなぁ。」

忙しいならば、できるだけ邪魔したくない。

「あほ!そんなこと言ってたら、これから先未桜が1人で我慢し続けなきゃじゃん!

夜はきっと明日に向けて早く解散だから、連絡してみな!」

ごもっともだと思ったから、絶対に電話すると約束して夕方に別れた。

美月のおかげで心に余裕ができたな。

何か新しいメニューに挑戦してみよう。





そして、夜8時。

さっきお風呂を終わってから、そわそわして他のことができない。

もう、いいかな。

でも、電車かもしれないしなぁ。

8時半に電話しよう。

いや。もう我慢できない。

かけちゃおう。

プルプルプル、プル、ガチャ

「もしもし、隼斗?」

「え、本当に未桜?本人?」

「うん、私。」

隼斗の電話口の声は想像以上に近いから、嬉しいけど、恥ずかしい。

「どうした?」

「えっ、あっ、な、何してるのかなって。」

まだざわざわと人の声がするから、帰ってないのかな。

「今はまだ帰ってない。

やっと解散して、今駅に向かってるんだ。」

「オープンキャンパスなんでしょ?」

「あぁ、悪い。言ってなかったか?」

「そうだよ。

だから何で連絡くれないのかなって。」

1番言いたいことが言えてすっきりした。

「それは、俺の連絡が多くて面倒くさくないかなと思ったからで、明日でいいやと思ったら先延ばしにしてた。

本当にごめん。」

「私、面倒だなんて言ってない。

むしろ、連絡がなくて不安だった。」

若干怒って言うと、隼斗が向こうで笑ってる。

「な、何で笑うの?」

「俺から連絡がないことを不安に思ってくれるんだなぁと思って。

俺から電話来なくて寂しかった?」

「うん。」

声が甘くてドキドキする。

「ごめんな。」

「ううん。私もちゃんと言えて良かった。」

「俺も分かってあげられたら良かったんだけどな。」


2人でお互いに反省しているのがなんだかおもしろい。

「会いたいなぁ。」

なんて思ったって隼斗は遠くにいる。

今度は私から会いに行こうかな。

「今から会いに行こうか?」

私の心の声が分かったの!?

「え?」

「いや、今未桜が言ったんじゃん。会いたいなぁって。」

「ち、ちが!

ううん、違わないけどさすがに無理だから今度の休みは会いに行くね。」

ぎこちない返事は隼斗にちゃんと届いたみたいだ。

「楽しみにしてる。

未桜が会いに来てくれるの。」

ケンカとは呼べないかもしれないけど、2人の絆が強まった気がした。
< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop