異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
そして、ジリンの見立て通りに、三日後には二回目の案内が来た。

「母さん、受かったよ。よかった。最初で躓いていては、父さんにしばかれそうだもんね」

「大丈夫よ。だって、もう町の人たちにおいしいって言われているでしょ。貴族の方々の舌がそれほど特別だとは思えないわー」

「そうかな。舌は肥えていると思うけど。ほら、いつもすごく良い物を食べているみたいだもの」

ふたりは部屋に運ばれてくる食事をとっているから、ジリン公爵夫妻と同じメニューではない。それでも、夕食に出される絶品タンシチューから考えると、貴族の食事は特別だと予想できる。
あのランクの食事を子供のころから毎日食べているなら、相当舌も肥えるだろう。

「大丈夫よ、メグミ。和菓子の歴史を考えてみなさい。一般の庶民から大臣まで食べてきたんだから、長い間に洗練されてきたのは間違いないわよー」

それは西洋菓子も同じだと思いつつも、サユリに言われると少し心が落ち着く。

まずは平常心が必要とされた。

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