異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
それでも、ローズベルは一度だけメグミへ顔を向ける。

「ねぇ、メグミ。ここでみたらしは作らないの?」

「ローズベル様は、みたらしだんごを食べたことがあるのですか?」

下賤な食べ物と言われそうな雰囲気がありありと出ていたというのに、食べたいと思ってもらえるのだろうか。むしろ、味を知っている様子がある。

「あるからどうだっていうのよ。お父様がいけないのよ。いつもいつもお土産とか言って持っていらっしゃるから」

いきなり攻撃の先が公爵へ向いてしまって申し訳ないことになった。

しかし、食べたことがある人からここで作らないかと訊かれたなら、誰でもほしいのだと思うだろう。当然メグミは頷いた。

「食べたいと言ってくださればいつでも作ります」

「誰もそんなこと言っていませんっ」

きっと睨まれてしまった。

ため息を吐いたのは夫人だったか。自分の娘といえども、御し難い点がありそうだ。

睨まれはしたが、食べたいという気持ちが出ていたのでメグミは嬉しい。試験が終われば、こちらで一度は作ろうと決めて胸に留めた。
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