異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
その日は、二回目までよりもずっと早く王城へ入った。馬車には、公爵家の紋章が入っているので、王城の門も易々通り抜けられる。
ジリンは選考が始まる少し前に王城へ来る予定になっていた。それくらい早い時間だ。
乗っているのがメグミひとりなので、検閲もされる。
検閲の衛兵は、彼女が両手で持っていた麻の袋を手に取って、陽に透かそうと高く掲げて覗き込む。
「これはなんだ。見たことのない豆だな。赤いぞ」
「小豆色です。アズキと言います。今日の和菓子に使用するんですよ」
「ふーん。あんたは変わった菓子を作ることで有名だからな。材料がちょっと変わっていても変じゃないか。お菓子の材料なら持っていてもいいから止めるなというお達しもでている。通ってよし」
――有名? いつの間に。
「いつか俺たちにも食わせてくれよ」
「はい。どうぞよろしく。あ、テツシバです! いまは店を閉めていますけど、店の名はテツシバですからっ」
通り過ぎてゆく間の会話だから大きな声になってしまった。数人いた門兵たちはおおいに笑った。
ジリンは選考が始まる少し前に王城へ来る予定になっていた。それくらい早い時間だ。
乗っているのがメグミひとりなので、検閲もされる。
検閲の衛兵は、彼女が両手で持っていた麻の袋を手に取って、陽に透かそうと高く掲げて覗き込む。
「これはなんだ。見たことのない豆だな。赤いぞ」
「小豆色です。アズキと言います。今日の和菓子に使用するんですよ」
「ふーん。あんたは変わった菓子を作ることで有名だからな。材料がちょっと変わっていても変じゃないか。お菓子の材料なら持っていてもいいから止めるなというお達しもでている。通ってよし」
――有名? いつの間に。
「いつか俺たちにも食わせてくれよ」
「はい。どうぞよろしく。あ、テツシバです! いまは店を閉めていますけど、店の名はテツシバですからっ」
通り過ぎてゆく間の会話だから大きな声になってしまった。数人いた門兵たちはおおいに笑った。