異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
選考のために並んでいる貴族たちは、ベルガモットの方をちらりと見て頷く。
「それはそうですな。この“おはぎ”? 食べれば食べるほど味わい深いですよ。あぁ、なくなってしまった。外を囲っていた黒いものが何ともうまい」
「初めての味ですよ。……つまりは、そう言うことですね」
メグミは隣に座っている候補へ視線を向けることはできなかった。その胸中が推し量れてしまう。
彼はがたんっと椅子から立つと、挨拶もなくその場から駆け去ってしまった。メグミは、目を伏せ、膝の上に置いた両手を握りしめる。
駆け去った彼が、菓子職人への道を諦めてしまわないよう願う。ここまで勝ち上がった力があれば、別の場所できっとその力を振るえるに違いないのだから。
「メグミ」
前方から声が掛かって、メグミは慌てて顔を上げる。
「は、はいっ」
「これはなんだ。この黒い豆は」
ベルガモットが尋ねてくる。
「小豆です。それを砂糖で味付けしてあんこにします。あんこには粒あんとこしあんがありますが、今回のものは粒あんです」
「……単純な味だったが、うまかった」
「ありがとうございますっ」
ぴょんっと立ち上がったメグミは、深々とお辞儀をした。そこにいた審査員が、彼女の様子を見て笑う。これで、候補者はひとりに絞られたのだ。
「それはそうですな。この“おはぎ”? 食べれば食べるほど味わい深いですよ。あぁ、なくなってしまった。外を囲っていた黒いものが何ともうまい」
「初めての味ですよ。……つまりは、そう言うことですね」
メグミは隣に座っている候補へ視線を向けることはできなかった。その胸中が推し量れてしまう。
彼はがたんっと椅子から立つと、挨拶もなくその場から駆け去ってしまった。メグミは、目を伏せ、膝の上に置いた両手を握りしめる。
駆け去った彼が、菓子職人への道を諦めてしまわないよう願う。ここまで勝ち上がった力があれば、別の場所できっとその力を振るえるに違いないのだから。
「メグミ」
前方から声が掛かって、メグミは慌てて顔を上げる。
「は、はいっ」
「これはなんだ。この黒い豆は」
ベルガモットが尋ねてくる。
「小豆です。それを砂糖で味付けしてあんこにします。あんこには粒あんとこしあんがありますが、今回のものは粒あんです」
「……単純な味だったが、うまかった」
「ありがとうございますっ」
ぴょんっと立ち上がったメグミは、深々とお辞儀をした。そこにいた審査員が、彼女の様子を見て笑う。これで、候補者はひとりに絞られたのだ。