異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
そのとき手がけていた菓子作りは停止して、数日でいいから休ませてほしいとベルガモットからコンラートへ頼んでもらうとすぐさま了承が出た。ジリンの屋敷へ急ぐ。
夕闇が迫る空がとても朱くて目を細めるような時の中で、メグミを乗せた馬車が走る。
彼女がサユリの部屋へ入ると、それまでついていてくれた医師と、公爵夫人、それに連絡をくれたジリン公爵自身がその場を外して部屋を出て行った。
ローズベルもそこにいたが、いつもの強い口調は微塵もなく、黙ってメグミの横を通り過ぎた。
部屋の中は、メグミとさゆりだけになる。
ベッドへ近づいたメグミは、横にある椅子に座ってサユリの手を握った。母親が目を薄っすらと開けたのを見て、血の気のない顔を覗き込む。
「母さん……私だよ。いつも一緒にいられなくて、ごめんね」
サユリがいつものように微笑む。
「仕事、どうしたの。抜けてきちゃだめじゃない……私は大丈夫なのに」
「ごめん。休みをもらったんだよ。一か月以上働きづめだったしね」
四週間費やした試験のあと、王城に入って一か月。夏の終わりから、秋になっている。ぴっちりと閉められている窓の外は、風が吹くと肌寒いのでコートが必要だ。
夕闇が迫る空がとても朱くて目を細めるような時の中で、メグミを乗せた馬車が走る。
彼女がサユリの部屋へ入ると、それまでついていてくれた医師と、公爵夫人、それに連絡をくれたジリン公爵自身がその場を外して部屋を出て行った。
ローズベルもそこにいたが、いつもの強い口調は微塵もなく、黙ってメグミの横を通り過ぎた。
部屋の中は、メグミとさゆりだけになる。
ベッドへ近づいたメグミは、横にある椅子に座ってサユリの手を握った。母親が目を薄っすらと開けたのを見て、血の気のない顔を覗き込む。
「母さん……私だよ。いつも一緒にいられなくて、ごめんね」
サユリがいつものように微笑む。
「仕事、どうしたの。抜けてきちゃだめじゃない……私は大丈夫なのに」
「ごめん。休みをもらったんだよ。一か月以上働きづめだったしね」
四週間費やした試験のあと、王城に入って一か月。夏の終わりから、秋になっている。ぴっちりと閉められている窓の外は、風が吹くと肌寒いのでコートが必要だ。