異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
二日後の葬儀は、テツジのときと同じで王国の作法にのっとって行われた。近隣の人たちは元より、ジリン公爵夫妻も娘のローズベルも参列してくれた。
コンラートは来なかった。メグミは当然だと思っている。彼は国王であり、そもそも予定では、今日は隣国の王太子が王城へ来ているはずなのだ。
意外なことに、賓客のもてなし料理のために忙しいはずのベルガモットが、短時間とはいえ顔を出してくれた。メグミに弔意を込めて頭を下げたときも立ち去るときも何も言わなかったのは、彼らしい。
テツジの横に棺が埋められたあとは、参列者たちが去ってゆく。
石造りの墓碑の前でメグミが一人で立っているだけになったころには、太陽の端が西の空へ隠れていた。踝まである黒い衣服と共に、黒い髪が風に晒されている。
彼女の肩をポンとたたく者がいた。メグミがゆっくり振り返ると、テツシバの近くにある馬車屋の若い主、エディだった。彼も黒い服を着ている。
「メグミちゃん。送って行くよ。どこへ帰る? ジリン公爵の屋敷?」
「……エディさん。……すみませんが、テツシバに」
「分かったよ」
エディは御者台で馬を操る。
感情や感覚が遠くなっているようなメグミは、馬車の中で布で包まれている位牌を両手でギュッと抱きしめ、胸に抱いていた。
コンラートは来なかった。メグミは当然だと思っている。彼は国王であり、そもそも予定では、今日は隣国の王太子が王城へ来ているはずなのだ。
意外なことに、賓客のもてなし料理のために忙しいはずのベルガモットが、短時間とはいえ顔を出してくれた。メグミに弔意を込めて頭を下げたときも立ち去るときも何も言わなかったのは、彼らしい。
テツジの横に棺が埋められたあとは、参列者たちが去ってゆく。
石造りの墓碑の前でメグミが一人で立っているだけになったころには、太陽の端が西の空へ隠れていた。踝まである黒い衣服と共に、黒い髪が風に晒されている。
彼女の肩をポンとたたく者がいた。メグミがゆっくり振り返ると、テツシバの近くにある馬車屋の若い主、エディだった。彼も黒い服を着ている。
「メグミちゃん。送って行くよ。どこへ帰る? ジリン公爵の屋敷?」
「……エディさん。……すみませんが、テツシバに」
「分かったよ」
エディは御者台で馬を操る。
感情や感覚が遠くなっているようなメグミは、馬車の中で布で包まれている位牌を両手でギュッと抱きしめ、胸に抱いていた。