異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
それから数日が過ぎる。
午餐の食前に出すデザートで、羊羹を小さく切って出した。夜会でこれを出したいとコンラートに伝えたかったが、その場で彼と話すことはできない。客人と一緒だったからだ。
国王として、彼はいつも忙しく、常に周りに人がいる。
しかも、一介の菓子職人が国王陛下と直接話したいと申し出ても、まず取次びの侍従長に停止をくらう。話したいというメグミの希望は、王城内ではコンラートの耳まで届かないのだ。料理長のベルガモットを通すくらいしか手段がなかった。
ただし、コンラートが一人でお茶の時間を過ごすときに、メグミに菓子を持ってくるよう伝達がくると、王だけの食事の間で二人きりになって話ができた。
「先ほど侍従が来たのよ。午餐のあとは休みの予定だったけど、行ってくるわね」
部屋の片づけをしていたメグミに、同じく掃除をしていたアルマが何気なく言う。
「急ぎませんと。メグミさんと話をしたいから、陛下が菓子を理由に呼んでいらっしゃるんでしょうから」
「え?」
不思議そうにアルマを見やると、彼女は呆れた顔をして早口で語る。
「お客様がいなくても、お茶の時間の菓子をご所望になられるのは、メグミさんが城へ来てからですよ。いつもそのころは、行方不明だとかで侍従が探していました」
「菓子がほしいって仰るから行くのよ。そのときに話すことだって、夜会とかお茶会とかで出すお菓子のことだわ」
「……にぶっ」
箒を片手にしたアルマは、足音も荒くメグミの部屋から出て行った。
午餐の食前に出すデザートで、羊羹を小さく切って出した。夜会でこれを出したいとコンラートに伝えたかったが、その場で彼と話すことはできない。客人と一緒だったからだ。
国王として、彼はいつも忙しく、常に周りに人がいる。
しかも、一介の菓子職人が国王陛下と直接話したいと申し出ても、まず取次びの侍従長に停止をくらう。話したいというメグミの希望は、王城内ではコンラートの耳まで届かないのだ。料理長のベルガモットを通すくらいしか手段がなかった。
ただし、コンラートが一人でお茶の時間を過ごすときに、メグミに菓子を持ってくるよう伝達がくると、王だけの食事の間で二人きりになって話ができた。
「先ほど侍従が来たのよ。午餐のあとは休みの予定だったけど、行ってくるわね」
部屋の片づけをしていたメグミに、同じく掃除をしていたアルマが何気なく言う。
「急ぎませんと。メグミさんと話をしたいから、陛下が菓子を理由に呼んでいらっしゃるんでしょうから」
「え?」
不思議そうにアルマを見やると、彼女は呆れた顔をして早口で語る。
「お客様がいなくても、お茶の時間の菓子をご所望になられるのは、メグミさんが城へ来てからですよ。いつもそのころは、行方不明だとかで侍従が探していました」
「菓子がほしいって仰るから行くのよ。そのときに話すことだって、夜会とかお茶会とかで出すお菓子のことだわ」
「……にぶっ」
箒を片手にしたアルマは、足音も荒くメグミの部屋から出て行った。