異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
コンラート用に草もちを二個作った。試験のときに大福を持って行った彼だけの食事の間へ行く。二人だけだから、午餐のときに出した羊羹の話ができる。
「羊羹と言います。あれを夜会に出そうと思いますが、いかがでしょうか」
「味は良かった。非常に品の良い食感で小豆も生きていて、俺の目的に適う菓子だ。だがあのままでは華やかさが足りない。国賓に出すんだぞ」
指摘を受けたメグミは、部屋へ戻って考える。年の終わりまであと一か月しかない。年が明けて一週間後に夜会だ。
その夜は一晩中そのことを考えていた。翌日になって、ポンと手を打つ。
――金箔を載せるのはどうかな。……金箔って、あるのかしら。貨幣で使用されているから、金はあるよね。でも薄くするには、専用の機械がない以上、高度な技術を持った職人さんがいないと無理だわ。……いるのかな。
ベッドの上で身体を起こした状態で硬直しているようなメグミに、朝の掃除をやりに来たアルマが言葉を放つ。
「何を考えていらっしゃるんです。いつも厨房の方でごそごそしているのに。昼近くまで部屋にいるなんて珍しいですね」
ごそごそというところにアルマのメグミに対する憤懣が感じられたが、理由を訊いても言わないし、いまは構う気になれない。
メグミはいつも和菓子のことで頭がいっぱいだ。
「ね、アルマ。金箔がどこかにないかと思って。食べてしまえるくらい薄いものがいいのよ」
「ありますよ。ベルガモット様が管理されています」
「あるのね! ベルガモットさんに訊いてくる!」
メグミは大急ぎで着替えて、走って部屋から出て行った。残されたアルマは部屋の掃除を始める。そのとき、今まではなかったものが、物入れになっている調度の棚に置かれているのに気が付いた。奇妙な絵が描いてある板だ。
首を傾げながらもそれには手を触れず、アルマは掃除を続けた。
「羊羹と言います。あれを夜会に出そうと思いますが、いかがでしょうか」
「味は良かった。非常に品の良い食感で小豆も生きていて、俺の目的に適う菓子だ。だがあのままでは華やかさが足りない。国賓に出すんだぞ」
指摘を受けたメグミは、部屋へ戻って考える。年の終わりまであと一か月しかない。年が明けて一週間後に夜会だ。
その夜は一晩中そのことを考えていた。翌日になって、ポンと手を打つ。
――金箔を載せるのはどうかな。……金箔って、あるのかしら。貨幣で使用されているから、金はあるよね。でも薄くするには、専用の機械がない以上、高度な技術を持った職人さんがいないと無理だわ。……いるのかな。
ベッドの上で身体を起こした状態で硬直しているようなメグミに、朝の掃除をやりに来たアルマが言葉を放つ。
「何を考えていらっしゃるんです。いつも厨房の方でごそごそしているのに。昼近くまで部屋にいるなんて珍しいですね」
ごそごそというところにアルマのメグミに対する憤懣が感じられたが、理由を訊いても言わないし、いまは構う気になれない。
メグミはいつも和菓子のことで頭がいっぱいだ。
「ね、アルマ。金箔がどこかにないかと思って。食べてしまえるくらい薄いものがいいのよ」
「ありますよ。ベルガモット様が管理されています」
「あるのね! ベルガモットさんに訊いてくる!」
メグミは大急ぎで着替えて、走って部屋から出て行った。残されたアルマは部屋の掃除を始める。そのとき、今まではなかったものが、物入れになっている調度の棚に置かれているのに気が付いた。奇妙な絵が描いてある板だ。
首を傾げながらもそれには手を触れず、アルマは掃除を続けた。