異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
「たぶんね。見ていれば分かるわよ。あなたは分からないだろうけど。お父様は職人は他のことには鈍いとおっしゃっていらしたけどね。王城の影になった部分は底なしに深いの。気を付けなさいよ。メグミは注目度が高いんだから」

つまりローズベルはメグミに気を付けろと言いに来てくれたらしい。

「ありがとうございます。気を付けます」

「……感謝に関してだけは、すぐに反応するのにね。どうして陛下の心遣いが分からないのかしら」

「えーっと……、身分が違いすぎるからかもしれませんね」

不意に口を衝いて出た言葉に、メグミもローズベルも目を見合わせて黙った。

いきなりおとなしくなったローズベルは、「邪魔したわ。おやすみ」と言い置いて部屋から出て行った。

メグミは放心したようにぼぅっとなったが、それもすぐに払拭される。

「寝ないと。だって明日の晩餐のデザートは私の番だもの」

自分に言い聞かせると、彼女は就寝の支度を始めた。
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