異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
今年も残すところあと七日という日に、雪が降った。大量でなくても、風の冷たさと雪の白さが、真冬になったことを教えている。
その日。メグミがいつものように厨房へ行き、食品の棚を確かめていたとき。
「……あれ? 小豆がない」
袋に入れて置いていた。
いままで嫌がらせなど何度もあったが、一度も菓子を作る邪魔だけはされなかった。作った菓子が転んでダメになったときも、背中を押した者はまさかそういう結果になるとは思っていなかっただろう。たまたま、重くてバランスを崩したのだ。
貴重な材料に細工をされるとか、無くなることもなかった。そのあたりはベルガモットが目を光らせている。料理や菓子に影響が出るようなことを彼は絶対に許さない。
「どこ? あれ? ここに置いておいたんだけど。誰か知りませんか?」
厨房には誰かがいつもいる。早朝に関わらずいまも三人いたが、顔を見合わせて首を横に振った。
「そういえば袋があったな」
「どこへいったかなんて、知るわけがないだろ。そこはメグミの棚だってみんな知ってる。下手に手を出すと、ベルガモットさんがものすごく怒るからな」
ベルガモットの厳しさの上に、国王の舌に載るのを思えば、恐ろしくてできないという面もあった。
「部屋に持って行ったのかしら……」
真っ青になって自分の部屋へ駆けてゆく。
その日。メグミがいつものように厨房へ行き、食品の棚を確かめていたとき。
「……あれ? 小豆がない」
袋に入れて置いていた。
いままで嫌がらせなど何度もあったが、一度も菓子を作る邪魔だけはされなかった。作った菓子が転んでダメになったときも、背中を押した者はまさかそういう結果になるとは思っていなかっただろう。たまたま、重くてバランスを崩したのだ。
貴重な材料に細工をされるとか、無くなることもなかった。そのあたりはベルガモットが目を光らせている。料理や菓子に影響が出るようなことを彼は絶対に許さない。
「どこ? あれ? ここに置いておいたんだけど。誰か知りませんか?」
厨房には誰かがいつもいる。早朝に関わらずいまも三人いたが、顔を見合わせて首を横に振った。
「そういえば袋があったな」
「どこへいったかなんて、知るわけがないだろ。そこはメグミの棚だってみんな知ってる。下手に手を出すと、ベルガモットさんがものすごく怒るからな」
ベルガモットの厳しさの上に、国王の舌に載るのを思えば、恐ろしくてできないという面もあった。
「部屋に持って行ったのかしら……」
真っ青になって自分の部屋へ駆けてゆく。